« 三人の模擬戦 | トップページ | ザックス相関図 »

空色の瞳の子

お世辞にも綺麗とは言えない家だった。


小さな窓の向こうに、夕陽が落ちかけた荒涼とした砂漠が見える。古びた椅子に座ったクラウドは、らくだ色の擦り切れた毛布に包まれていた。側の壁には、クラウドが引きずって来た剣が立て掛けられていた。クラウドはじっとその剣を見ていた。


老婆が暗がりの奥から皿を運んで来て、クラウドの前の傷だらけのテーブルに置いた。
「おあがり、お腹がすいているだろう?」
クラウドは老婆の方を見ると、ぽつりと言った。
「ありがとう・・」
毛布の隙間から出た手が、皿に添えられた匙を掴んだ。皿の上にかがみこみ、クラウドは少しずつ皿の中のスープを匙ですくってはすすった。どこか上の空で、のろのろとした動作だった。老婆は向かい側の椅子に腰を下ろし、それを温かい目で見ていた。


「あんたの服も、もうじき乾くよ」
クラウドはスープを飲む事に夢中になっていた。腹が減っていたのだ。ずっと何も口に入れていなかった。老婆はパンを盛った皿をクラウドの方へ押しやった。
「これも、おあがりよ」
大きな丸いパンを幾つかに切り分けたものだった。硬くしっかりと焼いた田舎風のパンだった。クラウドは黙ったまま一切れ取ると、口に押し込んだ。素朴な麦の味がした。クラウドはその味に懐かしさを感じた。パンを飲み込むと、クラウドは口を開いた。
「俺の・・母ちゃん、パンを焼くの、上手かった・・・」
老婆は微笑んだ。
「いい母ちゃんだね」
クラウドはかすかに頷き、再び皿の上に顔を伏せた。


「あんたの服、ソルジャーの制服だね」
クラウドは顔を上げ、じっと老婆を見た。その目は何の感情からも遠く、ただ老婆を見ていた。
「言いたくなきゃ、言わなくていいさ。ソルジャーってのは、随分秘密も多いらしいからね」
クラウドは目をそらし、助けを求める様に壁に立て掛けた剣の方を見た。大きなバスタードソード。この家の前で行き倒れていた時も、抱え込んで離そうとしなかった剣。


老婆が言った。
「あんたと同じ目の色をしていた。天気の良い日の空みたいな色でね」
クラウドは押し黙ったまま、老婆の方に視線を戻した。老婆は剣を見ていた。
「あの子・・昔はあたしと同じ、茶色の目をしてた。なのにソルジャーになって戻って来た時には、あんたと同じ目の色になっていたのさ」
クラウドは匙を置き、老婆に言った。
「あんたの・・息子?」
「ああ、神羅のソルジャーになるって、ここを出て行った。しばらくして一度戻って来て、又出て行って、それっきりさ。ウータイで殉職したって、神羅から知らせが来たけどね。あれから五年、いやもっとになるかね」


老婆は肩をすくめた。
「すまないね、年寄りの身の上話なんか、若い人には面白くもないね」
クラウドはかすかに首を振った。
「思い出は・・大切だ。忘れちゃいけない事は・・一杯あった方がいい」
老婆はクラウドに微笑みかけた。
「スープのお代わりはどうだい、パンももっとおあがりよ。あんた、行く所があるんだろ?」
クラウドは老婆を見た。空色の瞳に少しだけ輝きが戻っていた。クラウドははっきりと言った。
「俺、ミッドガルへいかなくちゃ」
翌朝、大きな剣を背負い歩いて行くクラウドの後姿を、老婆は見えなくなるまで見送った。


反神羅活動が活発化する少し前の事である。やがてミッドガルの壱番魔晄炉が爆破され、大いなる災厄が星を覆い、人々は破滅への予兆に怯える事となる・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザックスと別れ、ミッドガルへ行く途中のクラウドの事を書いてみました。
こんな事もあったかもしれないと・・・

にほんブログ村 ゲームブログへ

ここはもるがんのクライシスコアFFVIIの記録用の場所です。

本拠地はこちら「帰ってきた二次元に愛をこめて☆」

« 三人の模擬戦 | トップページ | ザックス相関図 »

二次創作小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222427/16770707

この記事へのトラックバック一覧です: 空色の瞳の子:

« 三人の模擬戦 | トップページ | ザックス相関図 »

2016年6月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
フォト

Twitter

無料ブログはココログ