二次創作小説

ニブルヘイムに雨が降る(セフィロス)


「どんな気分がするものなんだ?俺には故郷がないから解らないんだ・・」


セフィロスはクラウドに尋ねた。この一般神羅兵がニブルヘイムの出身だと、ザックスから聞いていたからである。他人に、ましてや一兵卒にしか過ぎない若者に、セフィロスがそんな言葉をかけるなど、珍しい事であった。


ニブルヘイムは辺境にあり、セフィロス達が到着した時には、村は夕暮れに染まっていた。今にも泣き出しそうな空も、夜の闇へと色を変えつつあった。



宿屋の二階の窓から、セフィロスは村を眺めていた。歳月に晒され、古びた家屋、給水塔、闇の中にわずかに輪郭を残す山々、揺れる木々の影。セフィロスは手を伸ばし、窓の硝子に触れた。冷たい感触、硝子越しの風景。俺はいつも硝子越しに”外”を見ていた・・?何だ、この妙な・・感覚?・・思い出?記憶?


(俺は・・この景色に見覚えがある)


初めて訪れた場所のはずなのに。懐かしいとは、こういう感覚なのか?ならば何故、俺はそう感じるのだ?資料室で読み漁った記録の数々が頭をよぎった。たどり着きたくない答えが、そこにおぼろげに姿を見せ始めていた。セフィロスは、あえてそれを考えまいとした。



一番古い記憶・・ガスト博士の顔。神羅の施設でセフィロスは育った。検査、訓練、検査、訓練の繰り返し。やがて戦場へ、セフィロスは出て行った。

戦場から戦場へ渡り歩く度に、セフィロスの名声は高まっていった。自分が何であるか、誰であるか、そんな事を考える暇もなかった。彼はいつも戦場にあり、最前線で戦っていた。そして彼は”英雄”になった。



彼は孤独な”英雄”だった。



ジェネシスとアンジールが、彼の前に現れた時、セフィロスは初めて自分以外の人間に親しみを覚えた。彼等はどこか自分と似ていた。優れた能力と才気。そしてもっと深い何か・・彼等は自分と同じ物を持っていると、セフィロスは感じた。彼等も、誰もが敬遠する英雄に臆する事無く向き合った。


それは、友情と呼べるものだったかもしれない。


ジェネシスとアンジールは同郷の幼馴染だった。二人の馴れ合った会話や態度が、セフィロスには好ましかった。その傍らにいると、自分も彼等と何かを分かち合っている様な気がした。


だが、ジェネシスが失踪し、アンジールも消えた。
セフィロスは、また一人になった。


そしてセフィロスは知った。ジェネシスとアンジールが、神羅の実験によって生み出されたモンスターだったと。神羅の研究の非道さを知らぬセフィロスではなかったが、その事に衝撃を受けずにはいられなかった。セフィロスの中で、疑問が兆したは、その時だったかもしれない。自分の存在について。


宿屋の親父がセフィロスに声をかけた。


「まだお休みになっていなかったんですか?」
セフィロスは振り返り、努めて穏やかな声で言った。
「天気が悪くなって来たな」
親父も窓の外を見上げ、一人頷きながら答えた。
「通り雨でしょう。山の方に雲はありませんでしたから、明日は晴れると思いますよ」
「それならいいが」
親父は軽く頭を上げると、階下へと降りて行った。


窓の外は、すっかり闇に包まれていた。降り始めた雨が、窓硝子に細い筋を残した。窓の闇の中に、セフィロスの姿が映っていた。窓を伝う雫が、丁度セフィロスの魔晄色の目から頬に、涙の様に流れた。嗚呼、俺はずっと泣いた事がなかった。セフィロスは思った。最後に泣いたのが何時だったのか、彼は思い出せなかった。


セフィロスは苦笑した。今日はどうも感傷的になり過ぎる。


部屋に戻り、寝台に身を横たえた。任務なのだ。今は余計な事は考えるのはやめるべきだ。明日は魔晄炉を調べねばならない。敵の事も、村の安全も考慮して、兵士の配置もせねばならない。ザックスはまだ未熟だ。奴にはまかせてはおけない。やらねばならぬ事は、山の様にある。セフィロスは目を閉じた。



浅い眠りの中で、セフィロスは夢を見た。


二人の子供が林檎の並木道を駆けて行く。笑い声が聞える。あれはバノーラ・ホワイト、通称バカリンゴ。セフィロスは二人に教わったリンゴの名前を、夢の中で思い出す。明るい髪の子供と黒髪の子供、あれはジェネシスとアンジール・・彼等の子供時代。


泣き声が聞えた。二人の子供が地面にしゃがみこんで泣いている。ジェネシスの重ねた手の中に、死んだ小鳥がいた。二人は小鳥の死を嘆いていたのだ。先に涙を拭いたのは、アンジールだった。彼は立ち上がり、落ちていた枝を拾い上げ、林檎の木の根元に穴を掘り始めた。ジェネシスはその側にやって来たが、まだしゃくり上げていた。両手に大事そうに小鳥を載せたまま。


小さな墓が出来た。白く丸い石が墓標となった。二人は墓の前に並んでうなだれた。二人の頭上には、青紫の林檎の実が揺れていた。細い女の声が二人を呼んだ。母さんだ・・どちらかが、そう言った。二人は顔を上げ、声の方へ駆けて行った。


二人を呼んだ女の声が、セフィロスの夢の中で木霊する。それはやがて二人の名ではなく、セフィロスの名を呼んでいた。夢の中で、セフィロスは呼びかけていた。顔も知らぬ母、名前しか知らない母に。母の名はジェノバ・・顔のない母がセフィロスに微笑みかける。


セフィロスは感じていた・・・母の存在を。今、自分のすぐ側に・・・

(母さん、母さん・・俺の・・・)

夢の中で、セフィロスも微笑んだ。


夜が更けるに連れ、雨は激しくなった。セフィロスを映していた窓に、雨は後から後から降っては流れる筋となり、泣き止まぬ子供の涙の様に、流れ落ちていった。まるで村そのものが、何かを哀れみ、泣いているかの如くに。



それは、ニブルヘイムに運命の日が来る、七日前の夜であった。




(fin)



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失われた微笑(ルーファウス&ラザード)

Rufus0m1d

「ツォンさん、もう大丈夫なんですか?」
声を掛けて来たのは、若いタークスだった。

ツォンは三人の思念体に襲われ、重傷を負った。ヴィンセント・ヴァレンタインに救われたものの、長期の療養を余儀なくされた。思念体は消えたが、世界の混迷は続いている。有能なツォンの職務復帰に、タークスの誰もが喜んでいた。ツォンに対する彼等の信頼は厚かった。

「何か変わった事はなかったか?」
並んで社内の廊下を歩きながら、ツォンはさりげなく聞いた。若いタークスは、妙な事を言い出した。
「社長は、眼鏡をかける時があるんですか?」
「眼鏡?視力は良いはずだが」
「スーツの内ポケットに眼鏡を入れているのを見たんです。社長らしくない、古い物だったんで、気になって」

ツォンの顔が険しくなった。
「社長の護衛はタークスの仕事だ。だが社長のプライバシーまで覗き込む権利はない」
若いタークスは、ツォンの何時になく厳しい言葉に驚き、慌てて頭を下げた。
「すみません」

自分の席に着き、ツォンは不在中にたまった書類に目を通した。卓上のディスプレイに、様々な文字や絵が映し出される。社内報に”星痕病”から回復したルーファウスの写真と談話が載せられていた。豊かな金髪に端正な顔立ち、自信に満ち溢れた表情。だがツォンは、その後ろに隠された孤独な素顔を知っていた。

(社長・・今でも、あの方の事を・・)

それはまだセフィロスが英雄だった頃の事である・・・・・

Lazard0m1c

ルーファウスは、窓際に立っていた。

窓から射す光が金色の髪に踊っていた。細身の長身は、オフホワイトの仕立ての良いスーツに包まれている。端正な顔は影になっていたが、確かに彼はラザードを見ていた。
「お前達は下がれ」
タークス達は一礼して出て行った。

ミッドガルから離れたルーファウス所有の山荘である。タークスが迎えに来た。副社長の指示だと。ラザードも馬鹿ではない。単なる用件ではすまない事は解っていた。だが拒否は出来なかった。

「内密で私をお呼びとは?副社長」
平静を装い、ラザードは尋ねた。
「キミは有能だ。有能な人材は、我が社でも貴重だからな」
ルーファウスは顎で示した。
「こちらへ来てくれ」
ラザードは従った。

ルーファウスは少し窓から身を離し、ラザードを窓の前に立たせた。眼下には、緑の幾何学模様の庭園が広がっていた。様々な花々が、植え込みの間に鮮やかな色を見せている。山荘との境界を仕切る塀の向こうは、赤茶けた乾いた荒野だと言うのに。

「すべて本物の花だ。科学部門が絶滅した品種を再生させたものだ」
「素晴らしい、神羅の技術のたまものですな」
ラザードは警戒しつつ、言葉を選んでいた。
「ゆっくりと見るがいい。花を見ると心が安らぐ。キミも最近は気苦労が絶えないだろうからな。ソルジャーの失踪が続いて」

会議で同席する事はあっても、ラザードはルーファウスとは個人的に言葉を交わした事はなかった。ましてや二人きりで顔を合わせるのは、これが初めてだった。だが父であり社長であるプレジデントに疎まれ、僻地へ追いやられる程に、彼がキレ者である事は知っていた。

ルーファウスは、ラザードに身を寄せた。ラザードの肩に緊張が走った。
ルーファウスは静かに言った。

「ジェネシスとアンジールはどこにいる?キミは知っているのだろう?」

ラザードは窓の外を見たまま、すぐには答えなかった。緑の間に咲く真紅の花を見詰めていた。荒野からの風に吹かれ、薄い花びらは震えていた。自分とホランダーが通じている証拠を、すでにルーファウスは掴んでいる・・

ルーファウスは詰問はしなかった。むしろ穏やかにラザードに語りかけた。
「返答次第では、キミの処分を考えねばならない」
ラザードは死を覚悟した。神羅に置いては「処分=死」である。

ラザードもまた静かに答えた。
「覚悟は、出来ております」
「誇り高いな」

ラザードは、不意に背後からルーファウスに抱きしめられた。驚いたが抵抗はしなかった。ベルモットと皮の匂いの混じった甘い香りがした。ラザードは耳元に熱い息を感じた。ささやきが聞えた。

「それでこそ、私の弟だ・・」

ラザードは息を呑んだ。やはり知られていたのだ、自分の素性を。ラザードは真紅の花を見詰めたまま言った。
「誇りなど、ありません」

ルーファウスは、ふっと笑った。
「何を言う」

必要なら、冷酷にも非情にもなれる。それが彼、タークスを敬服させ、次期神羅の総帥となるべき男ルーファウス。たとえ異母弟であっても、自分は社に仇なす者、この男が情などかけるわけはない。

背後から抱き締められたまま、ラザードは目を閉じた。
それは、死神の抱擁だった。

Rufus0m2a

「お前を、もっと知りたい・・教えてくれないか・・」
ラザードは窓硝子に手を着き、崩れそうになる身体を支えていた。

死を覚悟した諦めが、無様な抵抗よりも、同じ血の流れる死神に身をゆだねる事を選ばせていた。すべては闇に消える。消されてしまうのだ、自分の存在は完璧に。ある程度の社員なら、その事を知っている。神羅の繁栄の裏にある残酷な掟を。

首筋から再び這い上がって来た唇が、耳朶を打つ熱い息と共にささやいた。

「・・私を、兄と呼んでくれないか?」

ぬくもりと共に伝わってくるのは、満たされぬ心の飢餓感であった。そして自分も又隠していた孤独を剥き出しにされていく。ラザードは何度も口にしたいと思い、出来ずにいた言葉を叫んだ。

「兄さん・・!!」


二人は並んで天井を見ていた。
しばらくの静寂の後、ルーファウスは言った。

「ホランダーより、私を選べ」

ラザードは戸惑った。
「兄さん、いえ、副社長・・私の処分は?」

「社長が、親父があのようになったは、何故か解るか?」
ラザードは、微かに首を振った。
「孤独だよ、そのせいだ」

ルーファウスは言葉を続けた。
「力を得るほど人は孤独になっていく。孤独は人を歪ませる」

ラザードは、黙って聞いていた。

「私もかなり歪んでいるが、まだ人の心を忘れてはいない。だからお前が必要だ」
ルーファウスは、兄の手で弟の頭を抱き寄せた。
「お前が、神羅を支配する立場になればいい、私と共に」


二人は鏡の前に立った。
何もかも、虚飾を取り去った兄弟が映っていた。

ラザードの眼鏡は伊達だった。彼は自分がルーファウスに似ていると知っていた。それを隠す為の物であった。だが、これ程とは思っていなかった。その顔立ちも背格好も、二人は双子の様に似ていた。兄と弟は、互いの姿に感動を覚えていた。

「社長に、お前の事を公表させる」
「そんな事が出来るのですか?」
「社内では、我々親子に反対する勢力もある。お前は彼等にも人望がある」

ルーファウスは、どの幹部にも好意的な態度を見せていた。だが本当に有能なのは、リーヴとラザード位だと見抜いていた。

「お前の社内の立場も強化される。敵も出来るが、味方も増える」
「そうでしょうね、恐らく」

ラザードは、ルーファウスに見え透いた世辞を言わなかった。弟と認められても、慎重な態度を崩さなかった。それがルーファウスには好ましかった。

「その節度だ。それもいい」

ラザードは何か言おうと口を開きかけた。
だが、その唇は塞がれてしまった。よく似た形の唇に。

Lazard0m1b

親愛なる兄さんへ 

彼等を裏切った私はG細胞を移植されてしまいました。適性のない私は、急速に劣化が進行しています。まもなくこの命は尽きるでしょう。短い間でしたが、貴方を兄と呼べてうれしかった。私は誰も恨まずに、死・・・



走り書きは、そこで途切れていた。

「これを、どこで手に入れた?」
「スラム街の教会です」

ツォンは答えた。ツォンの任務のひとつに、スラム街に住む古代種の少女の監視がある。白髪の老人に「これをタークスのツォンに渡して欲しい」と頼まれたと、少女はツォンに告げた。ツォンは手紙の内容から、真に渡すべき相手が誰であるかを察知した。そしてルーファウスが山荘にいる時を見計らい、密かに彼の元に持参したのであった。

白いハンカチに載せて、ツォンがそっと差し出した物があった。
「手紙と一緒に、これが」

細い縁の眼鏡だった。レンズに血糊がこびり付いていた。ルーファウスは一瞬息を詰め、ハンカチごとそれを受け取った。その老人が、ラザードの変わり果てた姿である事は、疑いようもなかった。

動揺を隠し、ルーファウスは言った。
「ラザード統括は、ホランダー拘束の作戦中に殉職したと発表しろ」
「はい」
「その地位に相応しい扱いで。丁重にな」
ツォンは頭を下げ、出て行った。

一人になると、ルーファウスは壁に嵌め込まれた鏡の前に立った。楕円形の縁に細かな細工を施した骨董品である。滑らかに磨かれた表面に、ルーファウスの顔が映っていた。その顔は蒼褪めていた。誰もが冷酷と言う男の顔が。ルーファウスは懐から先程の眼鏡を取り出した。ハンカチで丁寧に汚れを拭き取ると、ルーファウスは眼鏡をかけ、鏡を見た。

弟がそこにいた。

弟よ・・もう誰も私を止める者はいないのだ。たとえ私が父同様に歪んでしまっても、もう誰も引き戻してはくれないのだ。神羅の生み出した忌まわしきものが、お前の命を奪った様に、私の心も奪われてしまうのだ。この星に、多大なる影響を与える権力と引き換えに。

弟よ、これから私は、多くの恐怖でこの星を支配するだろう。いつか実現してみせる、神羅がすべてをおさめる世界を。お前の想いが残る、この星に・・・


和解したあの日、弟は綺麗な笑顔で呼んでくれた・・「兄さん」と。ルーファウスは笑顔を作った。鏡の中の弟は、あの時よりも少し哀しげに、ルーファウスを見ていた。ルーファウスは、鏡の中の弟の唇に、自分の唇を重ねた。

鏡の面(おもて)に、一筋の涙が流れた。

これは私の涙ではない。弟の涙なのだ。私は泣くわけにはいかない。そうだ、私は泣いてはならない。私の涙はお前が全部持っていくがいい。

唇が冷えていく。その冷たさが、これから先、彼が歩いて行かねばならぬ道を思い起させた。ルーファウスは、鏡から顔を離し、もう一度鏡を覗き込んだ。弟はまだそこにいた。そこで兄を見守るかの如く、微笑んでいた。

それがルーファウスの見た、弟の最後の笑顔だった。

Rufus0m1b

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汚れなき旅立ち(ジェネシス&アンジール)

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小高い丘から見下ろすと、林檎の木が村一面に植えられていた。彼の立つ傍らにも林檎の木があり、彼の手の届く高さにも青紫の実が揺れていた。学名バノーラ・ホワイト、通称バカリンゴ。この村しか生息しない、そしてこの村の唯一の生産資源。

木々の間に民家が点在している。粗末な家の並ぶ先に、少しばかり立派な屋敷があった。それはこの村の地主の家で、今ここで村を見下ろしている、ジェネシスの実家であった。

背後から声がした。

「ジェネシス、何をしている」


黒髪の精悍な若者が立っていた。ジェネシスの親友アンジールであった。


「我が貧しきふるさとに、別れを告げていた」
「休暇には戻って来るさ」
「どうかな・・今度戻って来る時は、俺は俺でなくなっているかもしれん」


アンジールは、ジェネシスの隣に並び、同じ様に村を見た。


「ソルジャーの施術の事を、気にしてるのか?」
「真実は何処にあるか、それは女神のみぞ知る・・かもな」


アンジールは、ジェネシスがこんな物言いをしても、あざ笑う事も変人扱いする事もしなかった。アンジールはいつもそうだ、ジェネシスは思った。いつも誰でも平等に扱う。その瞳は、真っ直ぐに相手を見ている。目上の者には敬意をはらい、目下の者にはやさしく手を差し伸べる。


「アンジール・・お前は何故、ソルジャーに志願した?」

「今更聞くのか?俺の家は貧乏だ
ソルジャーになれば、親父とおふくろに楽をさせてやれる」


ふとアンジールは真面目な顔になり、傍らのジェネシスを見ると、低い声で尋ねた。


「お前こそ、何故だ?ここにいても、何不自由なく暮らせるだろうに」

「ここは見えない牢獄だ。そう思わないか?
俺はずっと感じていた。俺はここに囚われし者だと」


アンジールはふっと笑った。


「『LOVELESS』の読みすぎだな」


笑われても、ジェネシスは気分を害さなかった。ジェネシスはアンジールの笑顔が好きだった。


「いくら薦めても、お前は読んでくれないな」

「そういう物を読むのは性に合わん
本を抱えても、まったく俺には似合わん・・お前なら似合うがな」

「アンジール・・」
「何だ?」

「俺たちは戦場へ行くんだ。もし俺が先に倒れたら・・」
「ジェネシス・・」
「ん?」
「何も言うな」

「アンジール・・」
「今はただ、夢を抱きしめろ」

「俺の夢・・?」
「ああ・・」


ジェネシスは、素直に己の夢を語った。アンジールなら解ってくれる。それを知っていたから。


「俺は英雄になりたい、セフィロスのような」
「セフィロス・・か」


ジェネシスの生涯で、何のてらいもなく、自分の夢を口にしたのは、これが最初で最後であったかも知れない。


「アンジール!」

細く高い女の声がした。

「おふくろが呼んでいる。じゃあ、明日一番のバスでな」
「ああ、また明日・・・」


いつも通りに明日が来ると、どうして誰も疑わないのか。これまでのすべてが、今日で終わってしまうかも知れないのに。誰かが、箱のふたを開けてしまったばかりに。

ジェネシスは手を伸ばし、林檎をひとつもぎ取った。林檎の重みが、掌に、今日は何故かいつもより重く感じられた。俺が神であるなら、この林檎は、神の手に載せられたひとつの世界・・ジェネシスは自嘲した。俺は、人間でいい。少しばかり強くて、少しばかりこの星の役に立つのなら、俺は、普通の人間でいい。

ジェネシスは、すっかり暗記してしまった「LOVELESS」の第一章を口ずさんだ。


深遠の謎 それは女神の贈り物
我らは求め 飛び立った



傾きかけた夕陽が、村を赤く染めた。まるで村全体が、燃えているかの如くに。ジェネシスはくるりと踵を返すと、丘を下っていった。


我らは求め 飛び立った・・・



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再臨:一気飲みの天使


これ飲んでいつも健康です♪
これ飲んでいつも健康です♪


Sephiroth ! Sephiroth !


これ飲んでいつも健康です♪
これ飲んでいつも健康です♪


Sephiroth ! Sephiroth !

炭酸 ローヤルゼリー
炭酸 ローヤルゼリー


これ飲んでいつも健康です♪
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Sephiroth ! Sephiroth !

ゴクゴクゴクゴク、ゴクゴク飲まなきゃ!
ゴクゴクゴクゴク、ゴクゴク飲まなきゃ!
ゴクゴクゴクゴク、ゴクゴク飲まなきゃ!
ゴクゴクゴクゴク、ゴクゴク飲まなきゃ!


コンビニに(買いに行かなきゃ)
酒屋に(買いに行かなきゃ)


Sephiroth ! Sephiroth !



Cpo01



Advent:Chugging Angel


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宝条博士の異常な愛情

セフィロスの正宗が閃いた。
敵の大軍が一瞬にして壊滅した。


「すげぇ・・・」


トレーニングルームを覗いていたザックスは思わず唸った。


息を乱す事もなく出て来たセフィロスに、ザックスは駆け寄った。
「な、な、どうしたら、そんなに強くなれるんだ?」


セフィロスはザックスに言った。


「宝条に相談してみろ。奴なら、喜んで強化してくれるかも知れん」
「お、いいな、それ」
「ただし、それ以外に何をされても、知らんぞ」


「何って・・?」
いつもの無表情のまま、セフィロスは話を続けた。


「ソルジャーになりたくて、或る兵士が宝条に相談にいった」
「へえ・・」
「反射神経を常人の三倍にしてもらったそうだが・・」
「で?・・んで、んで、んで?」


「頭髪まで真っ赤にされてしまったそうだ」
「えー・・?」


「通常の三倍になったら、赤くしないといけないらしい」
「何だよ、それ?」
「知るか、奴の考える事など」


英雄の口元に、ほんの少し笑みの影が走った。
「あ、もしかして俺の事、からかった?」
「さあな」


黒いコートを翻して、英雄は悠然と去って行った。


「今ならもれなく、手足を二本増量中だよ」
ザックスの背後から声がした。


白衣の男が立っていた。眼鏡の奥に異様な光があった。


「俺、間に合ってます!要りませんから!」
ザックスは慌てて言った。







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宝条博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めてジェノバを愛するようになったか

戦場のナルシスト

「よ、ご苦労さん」
「あ、ザックスさん おはようございます」
「朝から忙しそうだな」


補給係の兵士が書類を見ながらつぶやいた。
「『LOVELESS 普及版』50冊、リンゴジュース5ダース・・」


「何だよ、それ」
「また、あれだ。ジェネシスさん・・朗読会を開くんだ」
「朗読会って?」

「福利厚生だか、慰安だかの名目で、兵士を集めて自分の朗読を聞かせるんです」
「ジェネシスが?」
「ええ、歌まで歌うんですよ。それがなかなか上手くて・・」


「ソルジャー・クラス1stって、そんな事もするのか?」
「いや、ジェネシスさんだけですよ」


「楽しそうだな。俺が1stになったら、ロックコンサートでもやってやるぜ!」
「勘弁して下さいよ、ザックスさん」
思い出のスーパーヒーローソングメドレーってのはどうだ?」
「ザックスさん・・・」





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英雄は電気カミソリの夢を見るか?

補給係の兵士が、伝票を見ながらしきりに首をひねっていた。
「よ、どうしたんだ?」
ザックスは持ち前の明るさで気軽に声をかけた。


「あ、ザックスさん」
「何か、物資の不足とかか?」
「いえ、そういうわけでは・・」
兵士は口ごもった。


「あの・・セフィロスさんから、毎日シャンプーとリンスを一本ずつ請求が来るんです」
ザックスは兵士の持っていた書類を覗き込んだ。
「ふーん・・お、”ライフストリームシャンプー”?いいの使ってんなー」
「アンジールさんからは、頻繁に髭剃りクリームと替え刃の請求が来ます」
「アンジールは髭濃いからなぁ、毎朝律儀に剃ってるし」


「ザックスさん」
「ん?」
「セフィロスさんが髭を剃っているのを、見た事がありますか?」


いきなりの質問に、ザックスは戸惑った。
「そう言えば、見た事ないよな・・」
「ですよね」


「・・・それが気になっていたのか?」
「はい」
ザックスは呆れた。


「セフィロスに聞いてみろよ、髭は生えないのかって」
「そんな事、自分は聞けませんよ!!相手は英雄ですよ!!!」



英雄さま


「髭?俺はそんなものは、一度も剃った事はない」
夕陽が英雄の銀の髪を紅く染め、風がその髪を軽やかになびかせていた。
「ふーん・・そうなんだ」
「そういう体質だ」
「便利でいいな」


「セフィロスさんに聞いちゃったんですか?!!」
補給係の兵士は驚いてザックスを見た。
「ああ」
「凄いな、ザックスさん!!俺、尊敬します!!」
「何て事、ねーよ」
ザックスは胸を張った。


「ザックス!」
後ろから声がした。ザックスが振り向くと、アンジールが腕組みをして立っていた。
「何をやってる、お前のマテリアが置きっぱなしになってたぞ」
「あ、いけね!」
ザックスは慌てて駆けて行った。


「やれやれ、相変わらず子犬だな。あいつが1stになれるのは、何時になるやら」
アンジールは補給係の兵士に請求書を差し出した。
「これを頼む」


アンジールが去った後、兵士はアンジールの請求書を調べた。それには”髭剃りクリーム”と書かれていた。




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The second creation novel・・とでも言うのでしょうか(笑)

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空色の瞳の子

お世辞にも綺麗とは言えない家だった。


小さな窓の向こうに、夕陽が落ちかけた荒涼とした砂漠が見える。古びた椅子に座ったクラウドは、らくだ色の擦り切れた毛布に包まれていた。側の壁には、クラウドが引きずって来た剣が立て掛けられていた。クラウドはじっとその剣を見ていた。


老婆が暗がりの奥から皿を運んで来て、クラウドの前の傷だらけのテーブルに置いた。
「おあがり、お腹がすいているだろう?」
クラウドは老婆の方を見ると、ぽつりと言った。
「ありがとう・・」
毛布の隙間から出た手が、皿に添えられた匙を掴んだ。皿の上にかがみこみ、クラウドは少しずつ皿の中のスープを匙ですくってはすすった。どこか上の空で、のろのろとした動作だった。老婆は向かい側の椅子に腰を下ろし、それを温かい目で見ていた。


「あんたの服も、もうじき乾くよ」
クラウドはスープを飲む事に夢中になっていた。腹が減っていたのだ。ずっと何も口に入れていなかった。老婆はパンを盛った皿をクラウドの方へ押しやった。
「これも、おあがりよ」
大きな丸いパンを幾つかに切り分けたものだった。硬くしっかりと焼いた田舎風のパンだった。クラウドは黙ったまま一切れ取ると、口に押し込んだ。素朴な麦の味がした。クラウドはその味に懐かしさを感じた。パンを飲み込むと、クラウドは口を開いた。
「俺の・・母ちゃん、パンを焼くの、上手かった・・・」
老婆は微笑んだ。
「いい母ちゃんだね」
クラウドはかすかに頷き、再び皿の上に顔を伏せた。


「あんたの服、ソルジャーの制服だね」
クラウドは顔を上げ、じっと老婆を見た。その目は何の感情からも遠く、ただ老婆を見ていた。
「言いたくなきゃ、言わなくていいさ。ソルジャーってのは、随分秘密も多いらしいからね」
クラウドは目をそらし、助けを求める様に壁に立て掛けた剣の方を見た。大きなバスタードソード。この家の前で行き倒れていた時も、抱え込んで離そうとしなかった剣。


老婆が言った。
「あんたと同じ目の色をしていた。天気の良い日の空みたいな色でね」
クラウドは押し黙ったまま、老婆の方に視線を戻した。老婆は剣を見ていた。
「あの子・・昔はあたしと同じ、茶色の目をしてた。なのにソルジャーになって戻って来た時には、あんたと同じ目の色になっていたのさ」
クラウドは匙を置き、老婆に言った。
「あんたの・・息子?」
「ああ、神羅のソルジャーになるって、ここを出て行った。しばらくして一度戻って来て、又出て行って、それっきりさ。ウータイで殉職したって、神羅から知らせが来たけどね。あれから五年、いやもっとになるかね」


老婆は肩をすくめた。
「すまないね、年寄りの身の上話なんか、若い人には面白くもないね」
クラウドはかすかに首を振った。
「思い出は・・大切だ。忘れちゃいけない事は・・一杯あった方がいい」
老婆はクラウドに微笑みかけた。
「スープのお代わりはどうだい、パンももっとおあがりよ。あんた、行く所があるんだろ?」
クラウドは老婆を見た。空色の瞳に少しだけ輝きが戻っていた。クラウドははっきりと言った。
「俺、ミッドガルへいかなくちゃ」
翌朝、大きな剣を背負い歩いて行くクラウドの後姿を、老婆は見えなくなるまで見送った。


反神羅活動が活発化する少し前の事である。やがてミッドガルの壱番魔晄炉が爆破され、大いなる災厄が星を覆い、人々は破滅への予兆に怯える事となる・・



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ザックスと別れ、ミッドガルへ行く途中のクラウドの事を書いてみました。
こんな事もあったかもしれないと・・・

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